海、川、山、空などを撮影し、水と共に旅を続ける冒険写真家の豊田直之さんにお話を伺いました。
豊田さんは、元々はカメラマンではありませんでした。こどもの頃はよく叔父さんと魚釣りに出かけていて、大人になってもよく釣りをしていたそうです。東京水産大学(現・東京海洋大学)を卒業して、就職したのは、船舶用電子機器メーカーでした。4年間その会社で働いたあと、釣りを仕事にしたいという思いが高まり、勢いあまって、会社にやめます!と言い、次の仕事を考えずに退職してしまいました。その後、釣りでお世話になっていた島の民宿の店主に「民宿のお手伝いをするので家に住ませてください」と、お願いして、まずは島で暮らしはじめたそうです。
カメラマンとして名が売れたきっかけは、それまでとりためた海中の写真が東京のギャラリーに飾られ、ある有名なカメラメーカーの部長の目にとまり、「この写真を撮った人を呼んでください」といわれたそうです。そのカメラメーカーのカレンダーの選考会に誘われて挑戦し、見事に採用が決まりました。そのカレンダーは、日本国内のみならず、海外にもたくさん配られました。東京、大阪、名古屋、札幌、福岡でそのカレンダー作品の写真展も開催され、押しも押されもせぬプロの写真家になりました。
現在は冒険写真家として主に海、川などの水に関わる写真を多く撮っています。そのほか「釣魚図鑑」を出版したり、写真絵本「ウミウシ (たくさんのふしぎ傑作集)」などの写真も撮るなど、書籍もたくさん出版しています。
いままで一番印象に残っている写真は、赤富士の写真です。赤富士はめったに見られず、ほんの一瞬しか赤く光る瞬間はないので、貴重な瞬間を撮ることができました。赤富士は縁起がよいとされているので、ポストカードにしたら人気が出たそうです。海の中の写真も、ライトを当てると綺麗に撮れるそうです。
豊田さんが海にもぐって写真をとる仕事をしていたら、ペットボトルなどのプラスチックごみを多く見かけるようになりました。現在は、NPO法人海の森・山の森事務局を立ち上げ、プラスチックなどのごみを拾う活動や、小学校での環境授業など多くの環境活動をしています。このまま行くと、2050年にはプラスチックごみの量が海の魚の量を上回ってしまう、という豊田さんのお話を聞いて、豊田さんが子どものころ見ていたという、綺麗な海になるといいな、と思いました。
豊田さんの好きな生き物はサメ、写真を撮るなら自由自在に動くタコが好きだそうです。サメを好きな理由は単純にかっこいいからです。タコは色も形もまるで忍術のように自分の姿を変えることが面白くてタコが好きだそうです。
冒険写真家の仕事は楽しそうだけど、想像以上にたいへんなお仕事で、それでもなお、お仕事だけではなくNPO法人の環境活動もしている豊田さんは、すごいなと思いました。豊田さんの写真は素敵な写真ばかりなので、ぜひチャンスがあれば見てみてください。
記事:鈴木隼人 馬場航平
取材:鈴木隼人 馬場航平 角田和瑛 小川悠樹
豊田さんの関連ホームページ
https://www.uminomoriyamanomori.com