2009年12月、中川駅近くにある、障がいのある方々が働く喫茶店、「カフェ・ドゥ・しゅしゅ」を訪問、取材しました。こちらでは、知的・身体障がいを持った18歳~50歳の方々が計63名働いています。
建物は3つのフロアに分かれています。1階はお店で、お客さんがパンを買ったり食事したりする場所、2階と3階は作業場になっています。今回は主に作業場の方を取材させていただきました。
まず向かったのは3階。こちらでは、比較的重いとされる知的・身体障がいを持った方21名にスタッフ5名が付き添って、班に分かれて仕事をしています。ここで扱うのはお米。朝10時前から作業にとりかかり、山形から運ばれてきたお米を玄米から白米に精米します。また、お菓子も製造しています。
作業は1, 2時間程度で終わり、午後は各々ゆったりと過ごしています。ここでは仕事よりも「学習」がメインになるため、決まった時間に昼食をとるなどの日課を大切にしながら、与えられた仕事にじっくり取り組むことによって力をつけることが課題となっています。
次に向かったのは2階。こちらは、朝9時からテキパキ作業します。ここで扱うのは豆腐とパンの2種類。障がいを持った方12名につき2名のスタッフがお手伝いをします。できた商品は1階のお店に出すほか、センター南の都筑区役所1階にある喫茶店でも販売しています。
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現場を訪ねたのは午後で、作業はすでに終了していたため、作業中の写真を撮ることはできませんでしたが、本格的な道具を使っていて、これを使いこなして商品を作っている皆さんはすごいなぁと感じました。しかし皆さん苦労がないわけではなく、学生だった自分が、いきなり仕事をする立場になることに戸惑いを感じながら働いていたそうです。
すべてのフロアを案内していただいた後、障がいを持っている方たちが働く姿を見て何を感じるかをスタッフの方に伺ったところ、「みんなが一生懸命に仕事をしているのを見るのはうれしい。一人一人を支援していくことは難しいけれど、良いところを伸ばすことが大切であるし、うれしく感じる。新しい能力を発見することに時間はかかるが、今までできなかったことができるようになったな、こんなところが変わったなと感じることはある。」と、うれしそうな様子でおっしゃっていました。
さらに、こうして働くことによって得られる効果を本人たちがどのように考えていらっしゃるのか伺うと、「上手になった、こんなことができるようになった、ということを、言葉で伝えることはできなくても、感じているのかなと思う」とお答えいただきました。
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この取材を通して、「はたらく」ということにおいて核心的な部分を学べたような気がします。与えられた仕事をただただロボットのようにこなすだけの「無気力」な風潮が目立つ今日ですが、こちらで働いている皆さんの表情は生き生きしています。仕事をすることによって毎日新しい発見をしていて、成長に終わりがありません。
自分の仕事や勉強に一つでもやりがいを見つけ、それを通じて、自分の目には見えないどこかを向上・成長させていくことが、人間にとって一番大切なことではないでしょうか。
(記事と写真 木原 正絵)
社会福祉法人 試行会 ワーク中川
http://www.shikoukai.jp/work/index.html