ぼくたち、わたしたちの未来、勉強中です!

中山からバスに乗り、白山ハイテクパークにある、小野測器に取材に行きました。
白山ハイテクパークには、小野測器の他、村田製作所、ケンウッドなどの会社が集まっています。小野測器では360人くらいの社員が働いています。

「小野測器」はその社名の通り、「測る」ための機械を開発、生産し、そして正確に計ることでモノづくりをする会社が使う製品に貢献している会社です。音の大きさをはかる測定器、騒音計、扇風機や洗濯機などの回転する回数をはかる測定器、回転計や、GPSを使って、精密に車の速度を測れる車速計などを製造しています。身近なところでは、小野測器の回転を測るセンサーは扇風機やエアコン、洗濯機などに使われています。回転計では、磁気を使った検出器や、軸に非接触でも回転数を測れるハンディタコメーターなどがあります。その中でも磁気を使った検出器は6月に打ち上げられた、H3ロケットにも使われています。


最初に会議室で会社の歴史について伺いました。
小野測器は、小野義一郎さんが1954年に東京で小野測器製作所を設立した会社です。創業時から日本初のジェットエンジン回転計作成し、テストを行ったりしてきました。1959 年の特急こだま高速度試験のときには、パンタグラフと、架線が離れた時間を小野測器の機械で、デジタル計測しました。1990年の横浜ランドマークタワー施工時には、建物の正確な位置合わせを行い、工期短縮にも貢献しました。また、2012年からは、東北新幹線の音響振動計測で快適な移動空間を実現させました。

創業者・小野義一郎氏の「誰もやらないから、挑戦する価値がある」という言葉を継承し続け、これからも未来のものづくりの進化に貢献してくれる会社です。

次に実際に測定に使っている三つの実験室を体験させてもらいました。

一つ目は無響室です。無響室は、その名の通り全く音が響きません。この部屋は全方位にグラスウールという吸音材が敷き詰められています。構造の工夫で音の反射を減らし、測定したいものがどんな音の特性をもっているかを正確に測定できる部屋です。

足下にも吸音材があるため床がないに等しく、網のようにピアノ線が張ってあり、ピアノ線の上をおそるおそる歩いて部屋に入りました。非常に小さい音も聞くことができました。この部屋は、機器から出る騒音などを計測するときや、マイクなどの精度測定に使います。

二つ目は残響室です。すべての壁が厚いコンクリートでできていて音が何重にも反射し、響きました。天井には透明な板が吊り下げられており、音をさらに拡散させます。手を叩いたり、声を出したりすると残響が響きわたりなかなか消えません。この部屋では吸音材などのテストを行えます。家を建てるための材料などが、どのくらい音を遮断できるかなども実験できるそうです。

三つめは、実際に車の運転シミュレーターを体験させてもらいました。実際に車の座席を模した構造の機器に乗って、本物の車を運転しなくても、音や振動で車に乗っている感覚を体験できる装置です。今回は3種類の刺激を体験しましたが、記者それぞれの感じ方が違いました。不快に感じる、快適に感じるなど自動車に乗っているときの音や振動の感じ方はその人それぞれです。車を作るときにその体感を再現し、どんな乗り心地になるのかを作る前に知ることができるのです。

社員の方にお仕事で気をつけていることがなんですか?と聞くと、
「嘘をつかないこと」という答えが返ってきました。「計測は正しくなければならない。一歩間違えれば危険な時もあります。測定が命にかかわることもあります」。と答えていただきました。

最後に社員のみなさんから記者へのメッセージをもらいました。

「実際に体験するということが大事です。気になることは、どんどん聞いたり見たりしてほしいです。分からないことがあるとき、それを調べたり、見てみたりすることが大事です。これからもいろいろな世界に触れていってほしいです」。

小野測器は、高い技術力と独自の取り組みで測定装置を開発し、私たちの生活を支えるモノづくりに貢献しているのがわかりました。縁の下の力持ちの様な存在だと感じました。これからも誰もやらないことに挑戦を続けて、色んな測定をできるようにして欲しいです。 (2024.7.26)

 

小野測器
https://www.onosokki.co.jp/

 

取材&記事
麻賀達一 折下陽琉 加藤昂 木尾実莉 桜田祥生 鈴木隼斗 高橋蒼士 横地範奈

アーカイブ
管理